僕も変わったかもしれないですけど、聴く側も変わったんじゃないかなって──坂本慎太郎、新作『ヤッホー』
An Interview with Shintaro Sakamoto on Yoo-Hoo

坂本慎太郎、3年半ぶりとなる5枚目のアルバム『ヤッホー』。ここ数年は国内のライブに加えて、アメリカ〜メキシコのツアー、アジア諸国でのライブ。さらには現行モダン・ソウルの牙城〈Big Crwon〉のボスで、最近はメイン・ストリームでもプロデューサーとして注目を集めるリオン・マイケルズ率いるエル・マイケルズ・アフェアのアルバム『24Hr Sports』にも参加するなど、海外での活動も多かった。大根仁監督による2022年にツアーにおける熊本県八代市キャバレー、ニュー白馬でのライブの模様を収めたライブ映像作品『坂本慎太郎LIVE2022@キャバレー·ニュー白馬』の公開・期間限定のNetflix配信も記憶に新しい。3年半の間に音源は出していないものの、ライブも含めて活動は多岐にわたっている。そんななかついにリリースされた『ヤッホー』。OTOTOYではハイレゾ(OTOTOYのみデジタル・ブックレット付き)、ロスレス(CDと同等音質)版のデータ販売もスタートした。その作品はどのようにして生まれたのか編集部の河村・TUDAによるインタヴューを行った。(編)
OTOTOYでの購入者に抽選でプレゼント : 坂本慎太郎サイン入りミニ色紙(3名様)
坂本慎太郎『ヤッホー』をOTOTOYにてアルバムまとめ購入(ハイレゾ / ロスレス版どちらでも)された方のなかから抽選で3名様に「坂本慎太郎サイン入り色紙」をプレゼント。
応募法法 : OTOTOY会員登録後に購入し、以下のフォームにて「プレゼント応募、イベント・視聴会への参加のお申し込み」を選択していただき、メール・アドレス、お名前などを入力の上、本文に「坂本慎太郎サインプレゼント」と、購入後にOTOTOYから送られてくるメール・タイトルをペーストしてお送りください(別の作品と同時購入でアルバム・タイトルが表示されていなくてもタイトル末の数字で判定できます)。
応募フォーム・ページ
https://ototoy.jp/contact/?volatile_init
応募期限 : 1月31日(土)
当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。
フォーム入力文例 :
『坂本慎太郎サインプレゼント
「ヤッホー」10点 ¥2,750(税込) 購入完了のお知らせ(X,XXX,XXX)』
ハイレゾ版は特典でブックレート・データも同梱! こちらはロスレス版(CDと同等音質)
INTERVIEW : 坂本慎太郎
「おじいさん」ではじまり、「ヤッホー」で終わるこのアルバムによって、沸き起こる感情は目の前の社会に対する悲哀ともいうべきものだった。もちろん決して作品として、サウンドにしても歌詞にしても、単なる悲しい、暗いアルバムというわけではない。サイケデリックなムード歌謡(「あなたの場所はありますか?」「脳をまもろう」)から前作を踏襲したような軽快なロック(「おじいさんへ」「時計が動きだした」)、ブルージーでスローテンポなファンク(「時の向こうで」「なぜわざわざ」「ゴーストタウン」)、ライブで炸裂しそうな強烈なディスコ・ブギー(「麻痺」)、そして優しい表情のバラード(「正義」「ヤッホー」)などなど、そのサウンドはバラエティに富み、気付くとスッと1枚を聴いてしまっている。絶妙なるバランス感で存在するポップ・ミュージックとして、いわば「楽しい」。もちろんこれまで通り、聴く人によってさまざまな解釈をも可能にするシンプルな日本語の歌詞の魅力はそのままだ。しかし、これまでの作品よりも、どこかダイレクトに、坂本慎太郎の、社会への視点が伝わってくる、そんなアルバムに私には聞こえるのだ。
文 : 河村祐介
インタヴュー : 河村祐介、TUDA
写真 : 西村 満
歌ってみてしっくりくるか、自分が嫌じゃないかという

──3年半ぶりのアルバム、感想としてはブルージーというか、歌詞に諦念というか嘆きみたいなものをアルバム通して感じました。ひとつあるのは、例えば今までだと「鬼退治」とか「スーパーカルト誕生」、「あなたもロボットになれる」、前作であれば「ある日のこと」とか偶話的な歌詞、いわばストーリーがあってみたいな、第三者的に描写するみたいな曲もあったと思うんですけど、今回のアルバムは歌詞に関して一人称的な感覚、もっと言うとパーソナルな考えみたいなものが多いのかなと。
そういうことを意識して作ったわけではないんですけど、今回の作品に関して受けたインタビューでは、同じようなことをよく言われました。単に1曲1曲、自分が納得がいく曲を作ってそれが集まったという感じなんですけど。こうやってアルバムとして1枚にまとまってみて、「そう言われてみるとそうなんだな」というぐらいで。取材を受けたら、あとから自分でもそうかなって思った感じなんですけど。
──曲作りはどのくらいからスタートしたんですか?
前のアルバム(2022年『物語のように』)が出てからちょっとずつ曲をコツコツ作りためてできたアルバムという感じですね。集中して、バッと作ったっていうよりは、ツアーもあったのでそのあいだあいだの期間で作っていって。
──曲作りの起点はどこにあるんですか?
いつも同じなんですけど、ギターを弾きながらコード進行と歌メロを作っていって、「これだったらいいかな」みたいな曲──その段階だと悪くはないけど良くもないぐらいの曲もあるんですけど、なんとなく新鮮味が感じられるような曲ができたら、そこからMTRでデモの録音を始めるって感じですね。そのときは歌詞がない状態で仮歌を歌って。
──ベースとギター、リズムボックスでしたっけ。そこに歌詞をはめていくってことですよね。
そうです。歌詞はなるべく無理やり作らないようにしていて、パッとはまる言葉が出るのを待ってるって感じです。特に前の作品と作り方としては変わったところはないですね。
──冒頭で言ったようなちょっとコミカルな偶話的な歌詞みたいなのが作り辛くなっているみたいなことはあったりしますか?
歌詞に関しては、歌ってみてしっくりくるか、自分が嫌じゃないかという感覚を大事にしています。消去法で「これだったら歌えるか」と思える言葉が残って、それを完成させていくというのがいつものやり方なんですけど。今回のアルバムの取材でいろいろそういう指摘を受けると、やっぱりちょっと偶話的なというか、第三者目線というか、なんかこう「神の視点」みたいな歌詞は無意識に嫌だと思ったのかもしれないですね。それを目指したわけではないんですけど。
──無意識とはいえ、ここの歌詞に出てくる情景だったりは、坂本さんが日々思っていることが反映されていることですね。
はい、そうでしょうね。
いろいろみんなダメージ受けてるんだと思いますね。ダメージ受けてる人に刺さっちゃってるんじゃないですかね。

──ずっと坂本さんの歌詞には、自分の視点からみたいまの社会を描くという感覚が反映されている歌詞がずっとあると思うんですが、今回はさらに一歩それが進んで、危機感を通り越して、さらに諦念みたいなものすらも本作をずっときいていて思ったんですけど。
それも今回の作品に関しての取材でやたら言われるんですけど、作ってる側としてはそんなに変わったつもりはないんです。でも、やっぱり滲み出ちゃってるのかもしれない。あとは聴く側もずいぶん変わったんじゃないでしょうか。以前の取材のときよりも、今回は皆さんがより過剰に歌詞に反応してるような印象は受けますね。社会状況が変わって、自分も含めて、これまでよりもみんながもっと世の中のことを考えるようになった気もしますね。だからそこで余計に歌詞に敏感になっているんじゃないかと感じています。他の取材では、僕が「『ナマで踊ろう』(2014年)も歌詞が社会的だと言われていましたが、それとどう違いますか?」 って聞き返したところ「今回はもっと現実的な感覚がある」というようなことを言われて。それがさっき言っていた「歌詞が一人称ぽくなってる」という感想と近いのかもしれないですけど。なんか、いつも以上に今回は歌詞のことを言われるから逆にちょっと驚いているところもあるぐらいで。
──アルバム1枚を通して聴くと、結構そこを意図してるのかなとか思ってしまうような統一感すら感じましたね。
実際、「この歌詞はこういう感じの意味ですよね?」みたいに質問されると、そう言われてみるとそうだなっていうのはあるんですけど。
──「なぜわざわざ」とか年末とかに、会社帰りに聴いていて、なんかちょっと音楽に関わっている身としては、すごい身につまされる感じで泣きそうになりました(笑)。
たぶん、いろいろみんなダメージ受けてるんだと思いますね。ダメージ受けてる人に刺さっちゃってるんじゃないですかね。もちろん僕もいろんなダメージを受けてるんで、それが自然に出ちゃってるんだと思うんですけど。僕も変わったかもしれないですけど、聴く側も変わったんじゃないかなっていうことが言いたいですね。
──坂本さんにとって、社会って考えたときに接点ってなんですか? メディアの報道なのか、家族や知人との会話とか。SNSはやってらっしゃないようですけど。
社会との接点ですか。
──例えば普通に報道とかってメディアはなにで見てるんですか、新聞読むとかいろいろあると思うんですけど?
新聞はとってないから、いわゆる普通のネットのニュース·サイト、あとはテレビのニュースとかですかね。
──無意識とはいえ、社会との接点がにじみでている歌詞なので、どう対峙してるのかなというのが知りたかったんですけど。いまYouTubeの影響で、ちょっと変な方向にいっちゃう人とかもいるような時代に。
でも、YouTubeは結構見ますね。
──そうなんですね! どういうYouTubeを見るんですか?
あー、もういろいろですね。くだらないものから。
──ニュースの解説みたいなのも?
そういうものも見ますし。まぁ、でもいろいろ適当にですね。
──そういうところでダメージみたいなものも受けたりとかってありますか?
ダメージというか、YouTubeをすごい見るんで、YouTubeの質がどんどん変わってるのは感じますね。
──それは悪くなっている?
悪くなってますね。昔は本当にただ面白いものを共有するみたいな感じがあったんですけど。広告が今入るから、あからさまに広告収入目当てだけのものがすごい増えたなっていう。詐欺っぽいというか、クリックさせといてただの静止画みたいなやつとか。そういうのもあふれているし、そういう意味ではYouTubeで見るものがどんどんなくなってますけどね。昔はもっとおもしろかったと思います。あ、あとメディアだったら、ラジオを結構聞きますよね。AMラジオ。そのあたりですかね、社会との接点と言えば。
──意識してどうのというよりも、そういうものの集積がじわっとこの作品に出ているっている。
あとはやっぱり普段の生活ですね。人と会った時の会話とかいろいろ。


































































































































































































































































































