2026/01/16 18:00

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.360 そのビブラートに魂はない

OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)


そのビブラートに魂はない

20年以上前の竹村延和インタビューを読んでいた。2003年に出版されたドイツの音楽誌に載っているものなのだけど、鋭い発言が矢のように降ってきて面白い。音楽における「好奇心」と「創造」の大切さが語られ、竹村延和という人はそれを日々宝物のように握りしめながら作曲しているのだろうとわかる内容だ。 音楽の本質からかけ離れたものがいかにも重要かのように扱われているということにこの時の彼は苛立っている。専門家のような態度で聴くこと、演奏者の物語を結びつけること、社会的メッセージがメインになること。能動的に聴かれてこそ音楽は音楽たりうるのだから、パッケージングされる時に提示されるあらゆるバックグラウンドは本来必要ないものなのではないか。「魂とその人の音程の揺れ、大げさなビブラートやシャウトには何の因果関係もないでしょう。」確かに。でもとっかかりがないと、主体的に聴こうとするのも難しい。難しいとか、まあないんですけどね。。

朝と夜で歌うラーガが違うように、音楽は感情と環境によってその効果が変わるものだというのはよく思う。だけど、だからこそ、その中に紋切り型の物語があると、感情の揺れ幅が決められてしまうのかもしれない。複合的な人生の中で、その時、その音がなっていることを大事にしたい気持ちと、音楽を音楽として捉えたい気持ちが相反して自分にはあるかもしれない。最近は感情がかなりないけど、そんな中でも竹村延和の言葉と音楽は自分の好奇心を少しくすぐるものだった。もう少し気力が湧いたら、自分はどういう音の連なりによって感情を揺さぶられているのか、書き出してみたいものだなー。

この記事の筆者
TUDA

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