清水正太郎(kurayamisaka)、「バズよりも、魂を吹っ飛ばす衝撃を」──初のアルバムで描く、“生きて命燃え尽きるまで”の群像劇
2021年12月に結成されたkurayamisakaは、今や国内外で最も注目されているロック・バンドへと成長を遂げている。EP『kimi wo omotte iru』から約3年を経て、彼らはついにファースト・アルバム『kurayamisaka yori ai wo komete』を完成させた。12曲・45分超のこの作品には、バンド・メンバーに共通する“ある想い”が込められているという。サブスクが主流のいま、なぜ彼らはあえて“アルバム”にこだわるのか──。その背景を探るべく、kurayamisakaの中核であり、別バンド「せだい」でも活動する清水正太郎(Gt.)に話を訊いた。
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数々の“憧れ”が結晶化、圧倒的強度を放つファースト・アルバム
INTERVIEW : 清水正太郎(kurayamisaka)
kurayamisakaのファースト・アルバム『kurayamisaka yori ai wo komete』は、“生まれてから死ぬまで”という命題を軸に、さまざまな人生が交錯するような作品だ。表題曲をはじめ、アルバムを通して投げかけられているのは「生きるとは」「死ぬとは」という普遍的な問い。そこにバンド・メンバーの楽曲が重なり、アルバム全体がひとつの群像劇のように立ち上がっていく。清水正太郎による収録曲ごとの解説を交えながら、その構築のプロセスをたどっていく。
インタビュー : 飯田仁一郎
文 : 石川幸穂
撮影 : 西村満
アルバム全体で聴かせるための説得力ある構成
──清水さん自身が思う、kurayamisakaのおもしろさはどんなところにありますか?
清水正太郎(Gt.)(以下、清水):メンバー全員、音楽のルーツが深くて、とにかくバンド好きの5人が集まっているところですかね。僕と阿左美倫平(Ba.)はそれぞれにせだいとyubioriでも活動しています。ギターやベース、ドラムのフレーズひとつ取っても「これはあのバンドに影響を受けてるよね」とわかりやすい部分があって、音楽好きのリスナーも「なるほどね」と楽しめると思いますし、そこから若い世代が遡って影響元を掘り下げるきっかけになれたら嬉しいです。
──kurayamisakaのメンバーが共通して好きなバンドはありますか?
清水:toddleは、「こういうバンドになりたい」という最初の指針でした。bloodthirsty butchersもそうです。
──toddleの魅力をどんなところに感じますか?
清水:僕が最初に聴いたのは“thorn”という曲で、田渕ひさ子さんではなく小林愛さんが歌っていたんですが、小林さんの淡々としたボーカルや、ギターのいなたさ、8ビートの感じ、すべてが完璧だと思ったんです。そこからアルバムを聴き込んで、「ギターの音がかっこよくて、女性が淡々と歌っているバンド」だと強く感じました。それを自分もやりたい、と思ったんですよね。
──kurayamisakaはギター3本の編成ですが、魅力と難しさはどんなところにあるでしょう。
清水:魅力はライブでの音圧です。3人で同じフレーズを弾くと、やはり2人以上の迫力が出る。その一方で、音域がかぶると混線するので、「ここは弾かない」と判断して、お互い察し合う必要があるのが難しさですね。今作の『kurayamisaka yori ai wo komete』では、かなり引き算を意識しました。
──ライブでもメンバーそれぞれの棲み分けの精度が上がっていると感じました。
清水:以前は自分たちだけでやっていたところを、いろんな人の意見を取り入れるようになって、客観的に見られるようになりました。その中で「弾かない」という選択肢が出てきたり、「ここは3人で一気に重ねよう」という判断が出てきたり。マネジメントチームやローディーさんといった、僕らより上の世代で、より大きな規模を経験してきた人たちからの視点をもらえる機会が増えたのが大きいです。
──ライブを観てると、みなさん自分の弾きたいように弾いている印象を受けます。
清水:自由にやっているように見えるかもしれないけど、みんな空気を読みつつ全体を考えてフレージングしてくれています。ドラムの堀田(堀田庸輔)がいちばん自由にやってます(笑)。
──アルバム『kurayamisaka yori ai wo komete』について伺います。制作するにあたって掲げたテーマはありますか?
清水:前作のファースト・ミニ・アルバム『kimi wo omotte iru』(2022年)は、架空の2人の少女に焦点を当てた作品でした(参照)。今回はもっと広く、いろんな人の人生を描いた群像劇的なテーマにしたいと考えていて。あとは、人の「生まれてから死ぬまで」といった要素を含んだ作品にしたいと思って制作しました。
──その方向性になったきっかけは?
清水:ちょうど制作を始めた時期に母が亡くなり、作業の途中で父も亡くなってしまって。大きな別れが続いて、自然とそういうテーマと向き合わざるを得ない状況だったんです。
──今年のフジロックのステージ上で飾ってあった写真は、もしかしてご両親の?
清水:そうです。
──清水さん自身、どのように向き合ったのでしょう。
清水:もちろんすごく悲しかったし落ち込みましたけど、人との別れは遅かれ早かれ必ず訪れるわけであって。一緒に過ごした時間で自分がもらったものや、これから自分が与えていくものを考えながら制作していました。
──最近はオルタナ、シューゲイザー、エモのシーンが盛り上がっています。その中心にkurayamisakaがいる印象もありますが、シーンへ対する意識はありますか?
清水:ないですね。純粋に、自分が10代の頃に触れて魂を吹っ飛ばされたような音楽や、バンドを続ける中で出会った仲間たちに育まれたものを詰め込んだアルバムになっていると思います。
──レコーディングはいつごろ、どれくらいの期間で?
清水:長い期間をかけて少しずつ録ったので、この2年間のkurayamisakaをパッケージしたような音源になりました。前作はギターをかき鳴らして飽和させる曲が多かったけど、今回はよりソリッドな曲や、よりロック・バンドとしての曲調にトライして。聴きやすさを保ちつつ、要所でえげつないことを仕込む、みたいな。
レコーディングは梅ヶ丘の〈hmc studio〉で、エンジニアの島田智朗くんととにかく話し合って試行錯誤しながら作っていきました。その過程も楽しかったですね。島田くんは年齢も近く信頼関係も深いので、第6のメンバーみたいな存在です。
──サウンド面で特にこだわった部分は?
清水:ギターはもちろんですが、今回はドラムの音が前作より格段に良くなったんです。「ドラムのこの音が録れたからあとはもう大丈夫」と思えたくらい、いい仕上がりです。
──清水さん自身のこだわりは?
清水:ギターのフィードバックです。いちばん楽しいけど難しい部分で、ハウリングは運任せの要素も強いけどコントロールできる部分もある。その塩梅を探るのが自分の仕事だと思っています。奇跡の一本が録れたり、逆に何度もやり直したりしながら取り組みました。
──では、今作における清水さんのポイントは?
清水:今は曲単位で「どうやったらバズるか」が重視されますが、今作は「アルバムを通して聴いてもらう」ことを強く意識しました。「12曲でひとつの作品」という説得力を持たせるために、構成もこだわりましたね。
──アルバムで勝負しようとしたのはなぜですか?
清水:僕らの世代はアルバムで音楽を聴いて育ったので、その憧れが大きいです。いつかアルバムという形で作品を作りたい気持ちが強くありました。
──そうした“アルバムへの憧れ”がある一方で、実際にバンドとしてはどのように始まっていったのでしょうか。
清水:最初はkurayamisakaでは音源を作ることしか考えていなかったんです。ところが最初の作品が想像以上に広まって、ライブも増えていって。すべて行き当たりばったりな感じで進んでいるんですよ。











































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































