焼きそば「もっと大きい会場で脳汁出たらどうなんねん?」──からあげ弁当が見据える“あるべき未来、乗るべきオープンカー”

焼きそば(Vo./Gt.)、こーたろー(Dr.)、春貴(Ba.)、Ryu-no.(Gt.)
滋賀県発のロック・バンド、からあげ弁当。2024年5月に配信リリースしたEP『最高更新』を自ら更新したEP、その名も『最高更新を更新』を2025年11月5日(水)にリリースした。これまでにない冷静さでバンドにメリハリを与えるRyu-no.(Gt.)が加入してから約1年半。制作形態は進化を遂げ、バンドの表現はさらに広がりを見せている。そして、フロントマン・焼きそば(Vo./Gt.)の内面にも、たしかな変化が芽生えていた。
周囲をざわつかせた〈UKFC 2025〉でのsyrup 16g”Reborn”のカバーの真意(現地で目撃した筆者も、その衒いのなさに射抜かれた)、そして今作においてストレートな歌詞で描かれる“まだ見ぬ未来への希望”。からあげ弁当はここから、さらに大きく飛躍していくだろう。その前に、いまだけの輝きを捉えにいった。(編集部)
<ぶっ飛べセンチメンタル 僕のこの歌で>
シンプルだからこそ突き刺さるサウンドと歌詞!
INTERVIEW : からあげ弁当

OTOTOYにはもう既に出たことがあるとのことだが、個人的には、初めてのからあげ弁当への取材だった。取材の後半で「なぜ、焼きそばの書く歌詞には<時代>とか<街>という言葉がよく出てくるのか?」という話が出てくる。インタビュアーのくせにその場でパッと言葉が出てこなかったのだが、思えばどちらも「移り変わっていくもの」なのだと思う。そして、「なぜ、そういうものを焼きそばは描くのか?」と考えてみれば、そこには「人の世の儚さを捉えたい」という思いも、「僕らにはまだ未来があると伝えたい」という思いも、どちらもあるのではないかと思う。あらゆることは時間の流れと共に過ぎ去っていく。でも、だからと言って、すべてを諦めて生きるわけにはいかないのだ。辿り着きたいのは、誰かが用意した「答え」なんかじゃない。辿り着きたいのは、湖の対岸。辿り着きたいのは、最高の夜。からあげ弁当の音楽は、今、とても大切なことを伝えようとしている気がしてならない。
取材・文 : 天野史彬
撮影 : 大橋祐希
syrup 16gの”Reborn”をカバーして、「ヤバいことやったんやな」って
──今年8月に開催されたUK.PROJECTのイベント〈UKFC on the Road 2025‐15th ANNIVERSARY‐〉で、syrup 16gの”Reborn”をカバーされたんですよね。どんな思いであの名曲をカバーしようと思ったんですか?
焼きそば (Vo./Gt.):一周回って「好きな曲やし、やろう」って感じでした。僕らを知らんお客さんばっかりやろうし、巻き込む意味でもやってみようかって。ストレートな気持ちでしたね。最初は「ほんまにやる?」って迷いもあったんですけど、スタジオで音合わせしてみたときに、改めて「めっちゃええなあ」と思って。名曲やし、自分らで演奏しても気持ちいいし。でも軽い気持ちではなく、「やるならちゃんとやらなあかん」と思って、めっちゃ練習しました。で、実際にステージでやってみたら、お客さんや事務所の人たちの反応を見て「ヤバいことやったんやな」と思いましたね。
──焼きそばさんは、“Reborn”のどんな部分が好きだったんですか?
焼きそば:メロディとテンポ感がめっちゃ好きなんです。あと、頭の歌詞の<昨日より今日が素晴らしい日なんてわかってる そんな事当たり前の事さ>という部分もそうですけど、歌詞全体が深いなって思う。人生について歌ってるけど、自分じゃまだ書き切れへんところまで、言葉選び含めていってる気がして。めっちゃ好きな曲ですね。
──からあげ弁当としては、去年6月にRyu-no.さんが正式加入して、新体制になってから約1年半が経ちますが、メンバーが増えるとバンドの空気感は変わるものですか?
こーたろー(Dr.):いや、元々Ryu-no.は春貴と知り合いだったので初対面ではなかったし、自然に仲間が増えた感じなんです。大きく変わったのは曲の作り方ですね。3人のときは、焼きそばが持ってきたメロディとギターのコードをスタジオで弾き語って、それにドラムとベースを足して夜通し練習して完成させていく流れだったんです。でも、Ryu-no.はパソコンが使えるので、アナログからデジタルへと制作スタイルも移行したというか。パソコンに各々の楽器を打ち込んでデモを作って、そこから削ぎ落していく形に変わりました。
──その制作の変化は、こーたろーさん的にもしっくり来ていますか?
こーたろー:そうですね。3人の頃は自分の手持ちの技だけでやってた感じでしたけど、今は家でパソコンに向かう時間ができて、リラックスした状態で思いつくフレーズを曲に取り入れられるようになった。それによって、曲の幅も広がったと思いますね。

──「3人の頃は夜通し練習していた」というのは、文字通り「夜通し」だったんですか?
こーたろー:そうです。夜10時から朝6時まで、みたいな(笑)。
焼きそば:(春貴に向かって)あいつ、スタジオの床で寝てましたもん。「30分寝かしてくれ!」って。
──(笑)。春貴さんは、その制作スタイルの変化をどう感じていますか?
春貴(Ba.):今のほうが全然いいです(笑)。夜通しってキツいんですよ。30分床で寝るくらいには(笑)。今は各パートの音源をデータで送りあってやりとりできるようになって、時間が有効活用できている感じもするし、楽しいですね。
──焼きそばさんとしても、この作り方の変化は求めていたものという感じですか?
焼きそば:そうですね。ただ、今でも最初は僕がスタジオでメンバーに聴かせるところから始まるので、完全に元のやり方が消えたわけではなく、プラスアルファで新しいやり方が付け足された感じなんです。よりいいものができていると思うし、しばらくはこのやり方でやっていきたいなと思ってます。
──Ryu-no.さんとしては、「新しい作り方を持ち込もう」っていう意識はバンドに加入する段階で明確にあったんですか?
Ryu-no.(Gt.):というより、僕自身、リードギターのフレーズを考えるのに時間がかかるタイプで。パソコンを使えば繰り返し聴きながら考えられるけど、スタジオだと時間制限があってじっくり練れないんです。だから「パソコン使いたいんやけど」って提案して、今の形になりました。
──Ryu-no.は春貴さんのお友達だったということですけど、からあげ弁当というバンドを客観的に見ていた時代もあるんですよね。その頃はどんな印象を持っていましたか?
Ryu-no.:正直、その頃は全然知らなくて。「春貴がもう1個やってるバンド」くらいの認識でした。3人が前作のEP『最高更新』をレコーディングしている頃に初めて会って、入るかどうかを話したんですけど、こんなに明るい人たちで、言葉を選ばずに言うとネジが飛んでる人たちだなんて知らなかった。こんなにバッ、いや、発想が……。
焼きそば:え、今「バカ」って言おうとした?
春貴:言おうとしてやめた(笑)。
──(笑)。Ryu-no.さん続けてください。
Ryu-no.:……発想が自分とは違う人たちで(笑)。だからこそ、引き寄せられる感じがしました。
こーたろー:Ryu-no.は真面目だし慎重な性格なんです。僕ら3人は急いで物事を決めちゃうところがあったけど、そこに慎重な人が加わったことで、曲作りも俯瞰で見ることができるようになったし、「ライブでどう見せるか?」っていう視点も広がりましたね。
春貴:リードギターも、前はこんなにピロピロしてなかったから、それがめっちゃいいなって。4ピースになったなって感じがしますね。

──焼きそばさんとしても、「バンドに新しい視点が必要だ」という思いがそもそもあったんですか?
焼きそば:たしかに、Ryu-no.の視点には助けられてる部分も多いんですけど、そもそも僕自身もノリでグワーッと行きつつも、渡る橋は何度も叩いて渡る系の人間なので。これまでも客観視しながら進んでいた部分もあったのが、Ryu-no.が来てくれたことでさらに強化されたっていう感じなんですよね。
──焼きそばさん自身が、実はけっこう慎重なタイプでもあるんですね。
焼きそば:そんな気がするっすね。あんまり明るみにしたくはないですけど(笑)。ノリで!っていう感じで行きたいんですけど、根っこは意外と慎重なんですよ。



















































































