2025/11/06 18:00

REVIEWS : 109 R&B(2025年10月)──R&B Lovers Club(Cookie、つやちゃん、アボかど、Yacheemi)

"REVIEWS"は「ココに来ればなにかしらおもしろい新譜に出会える」をモットーに、さまざまな書き手がここ3ヶ月の新譜からエッセンシャルな9枚を選びレヴューする本コーナー。今回はR&B偏愛&紹介ポッセ、R&B Lovers Clubより、Cookie、つやちゃん、アボかど、Yacheemiの4人による、現行のR&Bのエッセンシャルな新譜9枚のレヴューをお届けします。


OTOTOY REVIEWS 109
『109 R&B(2025年10月)』
文 : R&B Lovers Club(Cookie、つやちゃん、アボかど、Yacheemi)

Avenoir 『Mirage』

カナダはエドモントン育ちのシンガー、アヴェノワールのデビュー・アルバム。2023年のEP「NOIRE」では同じカナダのザ・ウィークエンドやドレイクなどに通じるダークなシンセも鳴らしていたが、本作ではピアノやギターの音を用いて1990~2000年代の香りがするスウィートなムードを強化している。サウンドの面白さよりも誠実な歌心を重視したような作りで、甘美でどこか寂しげな歌声の魅力が堪能できる。ラップっぽさはほぼなくビートにもアフロビーツやトラップなどの要素が入ってこないピュアなR&Bだが、スマートで繊細な歌い方にオルタナティヴR&B以降の感覚がある。あらゆるタイプのR&B愛好家に勧めたい一枚だ。(アボかど)

Cupid 『The Linedance King』

2007年のシングル「Cupid Shuffle」のヒットで知られる、ルイジアナのシンガーのキューピッド。一発屋と見る向きもあるがローカルに根差した充実した活動を続けており、アルバムとしては4年ぶりとなる本作もダンサブルな路線を中心とした好作だ。「Let’s Start a Love Train」でのハウス、二曲でのザディコ、「High Stepping」でのニューオーリンズ・バウンスなどサウンドの幅は意外なほど広い。しかし、キューピッドの歌声はどんな音に乗っても基本はR&Bマナー。ラストを飾る「The Love Slide」などでの歌いっぷりにはR&Bでしか味わえないものがある。(アボかど)

Halima 『SWEET TOOTH』

UKとナイジェリアで育ち、現在はアメリカのNYを拠点に活動するシンガーのハリマによる初のアルバム。「cocoa body」などアフロビーツ路線が若干多いが、「oops」での2ステップ、さらにマイク・ディーンみたいな重厚なシンセで歌う「wasting my body」やフォーキー・ソウル的な「laundromat」のような路線にも挑む様はまさに三か国の要素のミックスだ。歌にもアフロビーツ風の節回しやUKのダンスミュージック文脈っぽい加工が出てくるが、そんな中に一つ芯を見出すとしたらアフロビーツ要素よりもむしろクールなR&B流儀の歌声だろう。混ぜやすい音楽としてのR&Bの魅力が感じられる一枚。(アボかど)

[連載] Elmiene, Joy Crookes, MARIAH CAREY, Mariah the Scientist, UMI, Yerin Baek

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