ブライアン・リーズの存在感
ここからはプレイリスト55~58曲目の話
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最後に今回出演するロイディスことブライアン・リーズについてここで補足しておこう。彼はカンサス出身のプロデューサーだが、やはりその活動の拠点はNYはブックリンと言っていいだろう。その名を広めた、2013年のフエアコ・S名義のアルバム『Colonial Patterns』は、かのワンオートリック・ポイント・ネヴァーの〈Software〉からリリースされている。2010年代前半のローファイ・ハウス、さらにはセオ・パリッシュ的なビートダウン・ハウスとダブ・テクノ、さらにはヴェイパー・ウェイヴのアンビエント感を 組み合わせたかのような幽玄な調べは唯一無二。またその作風は多岐にわたり、同じくNYにおいてすばらしいクオリティの作品をリリースし続けるテクノ〜ハウス・アーティスト、アンソニー・ネイプルズの〈Proibito〉から同名義でアンビエント・アルバムをリリースし話題となったと思えば、ネイプルズの別レーベル〈Incienso〉からリリースされた同名義の『Plonk』(2022年)は、新たなテクノの創造性を感じさせるIDMアルバムで高い評価を受けた。自身のレーベル〈West Mineral Ltd.〉も現アンビエントのレフトフィールド・サイドを象徴するレーベルとして、とにかくそのセンスの良さを見せつけいる。ロイディス名義は以前に1枚だけやはりダブ・テクノのシングルがリリースがあったが、同じく〈Incienso〉から2024年に突如アルバム『One Day』をリリース。2000年前半のグリッジ・ハウスやダブ・テクノを今様に響かせ話題となった。 ちなみにアンソニー・ネイプルズの〈Incienso〉からは、その評価を決定的なものしたDJパイソンのファースト・アルバム『Dulce Compañia』がリリースされている。レゲトンとディープ・ハウスのグルーヴを組み合わせたサウンドだが、その音響処理はやはりダブ・テクノ / ハウスの延長線にあるものとも言える。
今回BCにはじまり、いくつかの大きめのトピックに限って紹介したが、例えばハウス・グルーヴを取り入れたBCに反応し、自らのパーティ〈Deep Space〉にてダブ・テクノをフックアップ、同名のレーベルからビート・ファーマシーのようなダブ・テクノとディープ・ハウスの折衷様を後押しした、NYハウス・シーンの巨星、フランソワ・ケヴォーキアンの2000年代の動きもあった。そしてブライアン・リーズがプレイリストであげているUKハード・ミニマルのバンドゥルのように、ステッパー・ダブとミニマル・テクノをミックス、スウェーデンのカリ・レケブッシュなどもまた違った感覚でハード・ミニマルとダブを融合させるなどBCのようにフォロアーを生むほどのひとつの流れにならないなりにダブとテクノ融合が試みられてきた歴史の点はたくさんある。もうすこし最近の話、2010年代以降、ポスト・ダブステップとテクノの汽水域において生まれたダブ・テクノやUKガラージとの融合、そして広大なダブ・アンビエントのフィールドなどなど、ダブ・テクノに関連する動きをすべて拾っていけばきりがないほどトピックはある。フォーマットとして、もはやテクノやハウスにおけるダブ・テクノはある種の普遍的なものとなっている。そしていわゆるモダンなルーツ・レゲエ・シーンからのベイブ・ルーツやアナザー・チャンネルのようなリズム&サウンド・フォロアーもかなり見出すこともできる。1970年代、ジャマイカのゲットーで、ひとつのトラックから無数のダブ・ヴァージョンが生まれたように、現在もBCをひとつの起点に無数のダブ・ヴァージョンが生まれ続けている。
コラム : レコード・バイヤーから見た最新ダブ・テクノ潮流
文 : 西村公輝(Lighthouse Recordsバイヤー)
ここからはプレイリスト59〜66曲目の話
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1990年代初頭に発生したダブ・テクノの、ミニマルなテクノのビートにレゲエ/ダブ由来の深いリヴァーブとディレイを効かせたリフをあしらうというスタイルは、テクノ界隈においては非常に馴染み深い一般的な手法として定着し、熱狂的な支持を集めるサブジャンルとしても確立されている。ここでは昨今の主にレコードリリースを軸に見た状況においての注目すべき動向をいくつか取り上げてみる。
始祖ベーシック・チャンネルの登場以降の00年代に傑作リリースの数々で神格化されたデトロイト拠点のレーベル〈DeepChord〉は現在は〈echospace [detroit]〉へと発展。近年はディープコード(DeepChord)、cv313、イントゥルージョン(Intrusion)といったレーベル・アーティストたちの名作を続々と再発させており、コレクターたちを喜ばせるのみならず、新規リスナーも開拓中。アナログな制作手法とマスタリングを突き詰めた芳醇な音響は頭抜けた魅力を放っている。
ベーシック・チャンネルがリズム&サウンド・プロジェクトで種を蒔いた、シンガーも交えての大胆なルーツ回帰志向の芽もしっかりと育っている。ロッテルダムにてテクノ色濃厚な独自のニュールーツを展開してきたフランク・ダブリン(Frenk Dublin)がよりテクノに軸足を寄せた音楽を発表する〈ECHO LTD〉からは彼の作品および、おそらくは彼が関与する匿名ユニットのSND & RTN等による正にポスト・リズム&サウンドなルーツ回帰型ダブ・テクノ(ワン・ドロップやステッパーズといったレゲエの古典的ビートパターンが多用されるリズムが特徴)が披露されており、非常に興味深い。一般的なテクノのフロアから遠ざかりつつ、より広範な音楽性(よりソウル的な温もりのある、と言うべきか)を包括したフロアでは一定の支持を集めている。
フエアコ・Sやロイディスといった名義を使うブライン・リーズに代表される、アンビエント/エレクトロニカ/IDMと密接にリンクした実験的なダブ・テクノの動きで注目したいレーベルが〈Short Span〉だ。挑戦的なエレクトロニックミュージックのリリースで注目を集めたレーベル〈Mana〉を共同主催していた業界の目利きマシュー・ケント(Mathew Kent)が新たに発足、今年リリースを開始したレーベルで〈Mana〉からもアルバムをリリースしていたSa Paを始めとしたリリースは今のところ全てダブ・テクノだが、どれもがかなりエクストリームなアブストラクト音響。ビートは不明瞭なパルスと化してエコーの壁に塗り込められているような感じ。2025年のサブルーム/アンビエント・パーティーではこんなのが掛かっていて欲しい。
著者紹介
西村公輝
Lighthouse Records所属。『HOUSE definitive 増補改訂版』(ele-king books)、 『シカゴ・ハウス大全』(DU BOOKS)監修。Dr. NISHIMURAの名義でDJ活動を行う。ユニット”悪魔の沼”のメンバー。
Lighthouse Records
現場DJたちも集う、目利きバイヤーたちによる老舗ハウス・ミュージック専門ショップ
さまざまなレコード店でその審美眼を磨いてきたベテラン・レコード・バイヤーで代表の森広康晴や同じくベテラン・バイヤーでもあり、悪魔の沼などでも活動するドクター・ニシムラこと西村公輝、さらにはDJクレクティヴ、CYKのDNGなどなど、現場経験も豊かなDJたちがバイヤー / スタッフとして在籍するハウスを中心としたクラブ・ミュージックの専門レコード・ショップ。ダンス・ミュージックの12インチを中心に、LPはもちろん新譜だけでなく、そんな現場の即戦力となる中古盤も取りそろえる。海外DJも来日時に頻繁に訪れる。またヴィンテージ・オーディオによる店内のオーディオ環境もすばらしい。17年の間、営業を続けた井の頭線・渋谷駅近くから、さきほど神田に引っ越したばかり。
ウェブショップ
https://lighthouserecords.jp/
店舗
〒101-0062
東京都千代田区神田駿河台3-3-17 UZビル B1F
https://lighthouserecords.jp/?mode=f1
・東京メトロ千代田線 新御茶ノ水駅から徒歩2分
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・東京メトロ丸の内線 淡路町駅から徒歩5分
・JR中央・総武線 御茶ノ水駅から徒歩6分
日独米のベテランから新鋭まで、ダブ・テクノの3アーティストがライヴ
"Plastic & Sounds" label launch party
2025年10月30日(木)@渋谷WWW
OPEN/START18:00 / 19:00
ADV./DOOR¥4,500 / ¥5,000 / U25:¥2,500(税込 / スタンディング / ドリンク代別)
LINE UP
Shinichi Atobe
Loidis [US]
Deadbeat presents Ark Welders Guild [DE]
DJ:MOODMAN
TICKETなどの詳細は以下、WWWの公式ページにて。
https://www-shibuya.jp/schedule/019207.php







































































































































































































































