2013/04/18 00:00

LOW HIGH WHO?のビート・メイカーEeMuとfake?のラップ・ユニット

EeMuと8th wonderのfake?が手を組んだラップ・ユニットBUDDHA SLAVE。ドラマや映画にトラック提供、幅広いタイプのラッパーとのコラボレーション等、多様な音楽知識で振り幅の広いビートを生み出すEeMu。様々な言葉をイメージで繋げ、一つの芯を魅せる立体的言語を武器とするfake?(8th wonder)。この二人が、純粋に音楽は楽しむためと言う信仰心のもとに、デビュー・アルバム『Quarter Men』はかなり刺激的でアグレッシブな作品に。

LOW HIGH WHO?から新ラップ・ユニットが登場


BUDDHA SLAVE / Quarter Men

【価格】
mp3 : 単曲 200円 / アルバム 1,500円
wav : 単曲 200円 / アルバム 2,000円

支離と滅裂との邂逅

リリカルな日本のヒップ・ホップを語るときには避けて通れない名盤『ヴァルハラ』を生み出した、8th WOnderのMC、Fake?と、脅威の11ヶ月連続EPリリースを終えたばかりの気鋭のトラック・メイカー、EeMuによるヒップ・ホップ・ユニットBUDDHA SLAVE。

あえて語弊のありそうな言葉でこのグループをまとめてしまうならば、支離と滅裂との邂逅だ。断片的な言葉と音、両者が合わさったとき、一見形を成していないように思える楽曲が、不思議と歯車を回しだす。ブツ切りの両者が最後には見事にダンサンブルなテンポに結実する「Benda Bilili」は、リード曲にして、その性質をもっとも体現した楽曲だろう。一方で、アルバム全体の曲配分も申し分ない。直接的なメッセージを投げ込む「Pitch Shifter」から、難解な言葉と音楽の極致ともいえる「どんな詩人も最後は同じ事を考えている remix」まで、この2人の持つ可能性を万遍なく試しているアルバムだ。感覚と理屈の見事なブレンドで踊れる、聴かせるヒップ・ホップとして見事な水準に達した「Green Hours」のためだけにでも手に取る価値はある。(text by 遼)

>>>EeMuのインタビューの特集はこちら

EeMu Monthly Collection シリーズ!

2012年に11ヶ月連続リリースしたEPシリーズが遂に完結。各EP、4曲入りとなっているが、毎回にそれぞれのテームを持たせている。30曲を越えてもなおサンプリング・ソースが尽きることの無いEeMu。きっとお気に入りの一枚があるはず! また、アート・ワークにはLHW?の全てのアート・ディレクションを担当するレーベル・オーナーParanelが担当。11枚を合わせると1枚の絵になるという新たなデジタル・リリースの可能性にも挑戦しました。

連続企画のアーカイヴはこちら

>>>EeMu Monthly Collection vol.1
>>>EeMu Monthly Collection vol.2
>>>EeMu Monthly Collection vol.3
>>>EeMu Monthly Collection vol.4
>>>EeMu Monthly Collection vol.5
>>>EeMu Monthly Collection vol.6
>>>EeMu Monthly Collection vol.7
>>>EeMu Monthly Collection vol.8
>>>EeMu Monthly Collection vol.9
>>>EeMu Monthly Collection vol.10

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Meiso / イテツクアカツキ

ファースト・アルバム『夜の盗賊』の衝撃的発表から3年。Meisoのセカンド・アルバム『イテツクアカツキ』が完成。イテツク(陰)アカツキ(陽)のタイトルが示す通り、今作は寒い夜から暖かい朝へと移り変わる瞬間の美しさをテーマに、新しい一日の始まりの希望とワクワク感を多くの楽曲で表現した。プロデューサーには日本で親交のあるEVISBEATS、DJ WHITESMITH、YOUNG-G、カリフォルニアのCAV3、ハワイのION MYKEやCEASEといった国内外のアーティストが参加。


%C / PCT.PEPPER'S LONELY BEATS CLUB BAND

勢いが止まらない! 2013年、一番レーベルとして機能している日本語ヒップ・ホップ・レーベルと言っても過言ではないforteのニュー・リリース。forteの作品のほとんどの楽曲を手がける%c(パーシー)のプロデュース・アルバム。待望のHOOLIGANZ、HAIIRO DE ROSSIの新曲も収録されるなど、チェックが必須のアルバムとなっている。


Fullmember / After December

FULLMEMBERが一つのテーマを持たせた初のコンセプト・アルバム。これは切ない曲だ、と言い切った詩人の様に、どの曲も具体的に自分自身のドラマが描かれている。「その後の世界」を一つのコンセプト・ワードに、経験した事無い苦悩、快楽、コンプレックスを自身の生活に落とし込んだリリックはDJ JUCOのビートをバックにより生々しく動き出す。

Profile

EeMu

北海道出身。中学からヒップ・ホップに目覚め、高校の頃には音楽性を確立し、全国のEDWINショップの店内BGMのオファーも来るほど当時は周囲を驚かせていた。その後、自身の多名義によるプロジェクト、様々なアーティストへのトラック提供をはじめ、現在はWEBサイトやCM、ドラマなどテレビ音楽などにも提供している。ブラック・ミュージックからクラブ・ミュージック、環境音楽などにも幅広くセンスに取り込み、仲間からラッパーから、音楽家たちからも愛されるビート・メイカーとしてコンポーザーとしてレーベル「LOW HIGH WHO?」を支え続けている。

EeMu official HP
LOW HIGH WHO? official HP

fake?(8th wonder)

Masashi(MC、Beatmaker)、KSK(MC)、Fake(MC)の3人により2000年1月に結成される。ルーツはあくまでヒップ・ホップとし、メタル / ハードコアやエレクトロニック・ミュージックとの異種交配を繰り返し、独特のエレクトロ・ゴシック・ヒップ・ホップとも言うべきスタイルへと至る。自身をさらけ出した詩的なリリックはこれまでの作品においても多くの人々から共感を得ている。ライヴでは3人がそれぞれギターなど楽器を演奏し独自の世界観を演出、さらにヒップ ・ホップの枠には全く収まらない新しい境地を開拓している。

この記事の筆者

[レビュー] BUDDHA SLAVE

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